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コンテナ革命

 本日は、コンテナについて少しお話します。一見、普通の鉄の箱にしか見えないコンテナですが、国際貿易に革命をもたらしたらしいです。週刊雑誌The Economistによると、グローバリゼーションにおいてコンテナの果たした役割はこの50年間で行われた全ての貿易協定を合わせた影響よりも大きいと言います。

コンテナ化

コンテナ化

 Containerization(コンテナ化)はProcess Innovation(プロセス・イノベーション)の持つ力を表すいい例です。ちなみに、製品の生産プロセスに関してイノベーションを起こすことで、製品の製造コスト低減や品質向上などが可能になる。これをプロセス・イノベーションと言います。

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プロセス・イノベーション

50年代の世界中の港は数百年にわたって特に変わらない忙しさだったらしいです。当時の風景を言えば、港に船が到着すると多くの港湾労働者は一気に押し寄せて、適当に積んである船荷を降ろし、その中から外国向けの貨物を知恵と経験を生かしながら出来るだけ効率的に積み乗せるといった「沿岸テトリス」でした。当然ながら、窃盗が日常茶飯事で、労働者は日給は「20ドル+持ち帰られるまでの酒」だったと言います。

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50年代湾岸労働現場

 コンテナ化はこの全てを変えました。考え出したのは、アメリカの運送巨頭のMalcom McLean氏でした。

Malcom McLean

Malcom McLean氏

当時の運送業界の状況を誰よりもよく知る彼は、貨物をトラックと船間で簡単に乗せ換えられるような標準化されたコンテナに積むことで多くの手間とお金を節約できると判断します。そして、1956年に彼自身で行った世界初のコンテナ船の運送コストを計算したところ、1トン当たりわずか0.16ドルで目的地まで輸送できたのがわかりました。当時の業界平均は1トン当たり5.83ドルでしたことを考えると、革命そのものですね。当然ながらコンテナ化はあっという間に世界中に普及しました。

コンテナ化後の近代港

コンテナ化後の近代港

1966年から1983年の間で、コンテナ式の港の割合が1%から90%まで急増します。その成長はちょうど国際貿易の急増と同時進行していきます。

コンテナ化と国際貿易(原典:The Economist誌)

コンテナ化と国際貿易(原典:The Economist誌)

One Response to “コンテナ革命”

  • きょひろ says:

    若い頃アメリカンプレジデントラインのコンテナ船のアテンドを手伝ったことがありますが、その船の大きさと迫力は印象的でした。当時はインターネットがなくて、専用のテレタイプみたいなので前後の港のエージェントと連絡とってました。プロセスイノベーション、良いお話が伺えました。

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