コンビニ人間
「ありがとうございます!これが最後の揚げ鶏です!」
舌足らずな日本語で彼女は言いました。
みなさんお久しぶりです。梅雨なのを忘れてしまうような暑さで今年の夏が既に恐怖です。
先日家から一番近いセブンイレブンが閉店しました。
今の家に住み始めてからしばらくしてできたそのお店は最寄の駅から家の間にあり、かつ曲がり角にある弁当屋をL字に囲うようにあるので、出入口が2つあります。
ゆえにコンビニの新商品がチェックしつつ曲がり角を若干のショートカットできるという優れた立地のコンビニでした。
さらに住民向けの商品も数多くそろえており、大変ありがたい存在でした。
仕事に疲れて何も作る気になれない夜や、何の計画もない土曜の昼、雨がきつくて小休憩したい時等々、いつでも私を迎え入れてくれるのでした。
そんな中、突然の閉店。
商品棚のセールが始まり、日に日にスカスカになっていく。
ある日脳がジャンキーを欲していたので、揚げ鶏を注文すると留学生ぽい女の子が冒頭の言葉をかけてくれました。在庫の最後の1個だったようです。
「そうなんですか!…閉まっちゃうんですねぇ。みなさんはどうされるのですか?」
と返事をすると、他店舗に異動とのこと。ちなみにその子は他店舗が遠いので、辞めてしまうらしい。
人生や生活に変化はつき物で、自分にはどうにも変化がないように錯覚する切なさの中で揚げ鶏を味わうのでした。
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