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ペンと体力と、あおなみ線

先日の日曜日、名古屋駅からあおなみ線に乗り、終点の金城ふ頭駅を目指した。
行先はポートメッセ名古屋で、隣接のレゴランドに目もくれず、会場入りをする。
その日はフィナンシャル・プランナー(FP)2級の試験日だった。

朝8時頃だというのに、ホームでは人があふれかえっていて、その中の多くの人がテキストらしき書物やプリントに目を落としていた。
自分も例外ではなく、彼らも受験者であった。
日曜日だというのに試験のために一日外へ出向くのも、そのために安くない受験費を払うのも、どこか高尚な気がしないでもないけれど、
せっかく良い天気の日なのに、と思わずにはいられなかった。
今回が2回目の受験、もう受験費は払いたくなかった。

FPの試験では、大まかに所得、資産運用、税金、保険、不動産、相続などの分野から問われ、お金に関する知識を試される。
2級から急激に難易度が上がるのは検定試験あるあるなのかどうかは知らないけれど、本当に難しい・・・。
試験は学科(120分)と実技(90分)で分かれていて、実技は計算問題で時間がギリギリになりやすい。

広々とした会場に、長机がずらっと並び、試験開始の合図まで受験者らが席につき、監督官の開始の合図を待っていた。
その静けさとピリついた感覚が、大学受験の頃のセンター試験の記憶と重なって、今自分が何歳だったかを忘れた。
開始30分経って、問題文を読む速度が遅くなってきたことに気が付く。
60分、ため息が出る。
90分、電卓のたたく個所を数回ミスって焦りだす。
試験終了前の3分、見直した選択肢がそれでいいのかで迷い始める。

学科試験が終わって、午後からの実技なんて考えられないほど頭の中がすでにオーバーヒートしかけていた。
外の空気にあたってぼぅっとしていたら、午後の試験が迫っていた。

実技試験開始、問題文を間違えないように読む。
30分経って、40問のうち、まだ12問しか解き終わっていなくて焦る。
解ける問題を探して時間を溶かしてしまう2分。
べき乗の計算機能が付いていない自前の電卓に苛立ち、0.33を4回手動で掛け算する1分。
全部解ききれないことを悟る、残り10分。
読めるところだけ読み取って確実に仕上げる8分。
投げやりに選んだの選択肢を埋める、宝くじの2分。

試験が終わった直後、頭がキーンと揺れて響くような感覚で、こんなに集中したのは久しぶりだったんだと分かった。
10代の頃の試験を受ける体力は、10代の頃のものだったんだなと、実感した。
ペンだけ握れても、頭が動かなきゃやってられない。
体力は、気が付けば少なくなっていた。

混雑を避けるために2本見送ったあおなみ線の座席に座り、ぼんやり車窓を眺めると、一度乗ってきた車両のハズなのに新鮮さを感じたのは、行きは景色なんて見ていなかったからだと、当たり前のことを思い出した。

家に帰って、少し寝て、解答速報が出ていたので〇付けをすると、おそらく受かっていると思われた。
だけど、嬉しいというより、すごく疲れた。
もう疲れた。
目を閉じて、今日一日のことで浮かんだのは、
あおなみ線から見えた青色の景色で、それだけだった。

試験勉強なんてこりごりだと思って、次は何を受けようと考えてるのも、変な話である。

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